財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、2023年4月判断の「山口県内経済情勢」について「県内経済は、持ち直している」と総括判断した。企業へのヒアリングや各種経済指標をベースに3カ月ごとに発表しているもので、昨年1月以降6期連続で前回判断を据え置いた。
その要点は、「『個人消費』は、物価上昇の影響は見られるものの、持ち直している。『生産活動』は、足踏みの状況にある。『雇用情勢』は、持ち直している」とした。さらに、22年度の「設備投資」は前年度を上回り、同じく「企業収益」は減益の見込み。また「住宅建設」は前年を下回り、逆に「輸出」は前年を上回る。
そして、5月以降の「先行き」については「ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」との判断を示した。
企業の声
ヒアリングした企業からは、
- 「価格転嫁のため、食料品を中心に販売価格が上がっているが、現時点では販売点数に大きな変化は見られない。一方で、今後も仕入価格とともに販売価格も上がる見通しで、特にうどんやパンなど小麦製品の値上げによる買い控えを懸念している」(スーパー)
- 「人流が増加傾向にあり、客数は年末から大きく改善している。商品単価の上昇も売り上げに寄与しており、コロナ前の売り上げを超えている状況である」(コンビニ)
- 「一部の自治体で省エネ家電の買い換え補助金事業があり、冷蔵庫やエアコンなどの白物家電を中心に、比較的高価格帯の商品が好調となった」(家電大型専門店)
- 「納期の長期化は続いているものの、自動車メーカーの国内向け生産台数が回復傾向にあり、年明け以降は販売台数が持ち直しつつある」(自動車販売店)
- 「全国旅行支援もあって、特に春休み期間中は予約が急増。国内で長距離・長期間の旅行が増えているほか、海外旅行についても予約が入り始めている」(旅行代理店)
- 「樹脂原料は国内外ともに低調な需要が続いているが、医療分野や半導体関連などの機能性製品の需要は堅調である」(化学)
- 「セメントは、建設工事の長期化のため引き続き国内向けの需要が低調であるほか、ゼロコロナ政策明けでも中国向けの建設需要はあまり回復していない。東南アジア向けは、中国と比較すると需要は堅調」(窯業・土石)
- 「国内では依然として建設工事の遅れが続いており、建材向け需要は低調。海外向けの出荷は、原材料価格やエネルギーコスト上昇に伴う製品価格の上昇により、安価な海外製品との価格競合が起こり、新規受注の獲得が難しくなっている」(鉄鋼)
- 「半導体不足の影響は当面続くとみている。不足が解消しない限りは生産量の上積みも難しい」(輸送機械)
- 「半導体関連向け製品の引き合いが強く、生産設備を増強しており、それに見合った人員確保に取り組んでいる」(鉄鋼)
- 「新卒の採用人数が目標を下回る結果となり、雇用環境の引き締まりを感じている。採用強化に向け、初任給を引き上げる形で賃上げを実施」(小売)
- 「設備投資は、半導体関連向け製品などの生産能力増強が中心。今後は、脱炭素に向けた投資を増やしていく予定」(化学)
- 「レンタル車両およびリース車両の購入を行う。レンタル車両は、減価償却に伴う更新をベースとしつつ、需要に応じて追加等の調整を行っている」(その他の物品賃貸)
などの声が聞かれた。