昆虫の中にはとても目を引く形態をした種がいます。その代表が、写真のサソリを連想するヤマトシリアゲです。オスの腹の先にはハサミ状の器官(把握器)があります。一方、メスはまっすぐに伸びた腹をしています。
ヤマトシリアゲは肉食性の昆虫で、頭は細長く伸び、先端にある口で、捕まえた昆虫などの体液を吸います。
オスはとらえた昆虫などを用意し、メスを引き寄せる匂いであるフェロモンを出し、メスの来るのを待ちます。においに引き寄せられやってきたメスは、オスのそばにある昆虫の体液を吸い、オスは把握器でメスをはさみ交尾を行います。
市街地近郊の樹林の広がる里山を散策すると、草の葉の上にとまっているヤマトシリアゲの個体を見つけることができます。警戒しても遠くには飛んでいかないので、じっくりと観察できる昆虫です。初夏の自然を感じてみましょう!
山口県立山口博物館 動物担当学芸員 田中 浩