本紙連載中のエッセー「おんなの目」の筆者・三好郁子さん(76)の初詩集「どきんどきん」(A5判102ページ、2200円)が、「うめのしとみ」名で詩遊社から5月に出版された。
三好さんは長門市出身、山口市在住。「書くこと」を始めたきっかけは、子育て中に生まれたすきま時間だった。「この時間に何かできれば」と、随筆教室に通い始め、山口詩話会や風響樹といった山口市内の文芸活動団体にも所属。1986年にはサンデー山口紙上で「おんなの目」の連載をスタート。芥川賞受賞作家の村田喜代子にも師事しつつ、創作活動を続けてきた。
第9回「ふるさとの詩」(埼玉県羽生市主催)優秀賞受賞(2014年)、800字文学館賞最優秀賞(2015年)など受賞多数。本作品に収録されている「熊」は、日本詩人クラブ「新しい詩の声」で優秀賞を受賞しており、「詩人たちに選んでもらったことが嬉しかった」と喜びを語る。
現在も連載中の人気コーナー「おんなの目」では、何気ない日常生活の一コマや女性の気持ちを、温かなまなざしとユーモアあふれる筆致で描いている。2018年11月に初の作品集「散歩に行きませんか」(B6判147ページ、1650円)を出版した際に「次は詩集を出してみたい」と語っていた三好さん。「どきんどきん」には、40年以上かけて書きためた中から「自分が好きなものばかり」選んだ25作品を収録した。詩人・冨上芳秀は「一遍一遍が独自な世界を持っている彼女の魅力的な虚実皮膜の世界は、どきどきしながら楽しく読むことのできる現代では稀有な詩集である」と評している。
「現在まで人の命が生き繋がれてきたのは、人には生きていくために必要な『元気玉』があるから。皆さん、信じて生きていきましょう」と三好さん。作品については「年を取ることで見えてくることもある。奥深い詩の世界に果敢に跳びこんでいきたい」と、創作意欲は尽きない。
「散歩に行きませんか」も合わせ、明屋書店MEGA大内店(山口市大内千坊2、TEL083-933-0707)とサンデー山口で販売中。問い合わせはサンデー山口(TEL083-925-7912)へ。