「2023市民みんなの文化祭」が、7月8日(土)午後1時半から、ニューメディアプラザ山口(山口市熊野町1)で開かれる。
主催するのは、「明日を紡ぐ大地の会」(福島光子代表)。同会は、文化芸術団体のネットワークづくりや、山口に関係する古今の優れた作品・人物に光を当てることなどによって「市民の郷土への誇りを高めよう」と、2010年に活動を開始。2014年から昨年までは、毎年春(女流芸術家発表交流会)と秋(市民みんなの文化祭)に市民文化芸術団体の合同発表会を開催してきた。今年からは年1回の開催に集約させることにし、その1回目となる。
出演するのは、①フレンズ&ゆずっこ②藤村順子さん③Ototumugiサクソフォン・アンサンブル④Blood Orange⑤むつみ会⑥明日を紡ぐ大地の会の6団体・個人。
①は「夢一夜」「群青」「マリーゴールド」をマンドリン、大正琴、ギターとのコラボで演奏。②は「花は咲く」「トップ・オブ・ザ・ワールド」などをフルートの音色で聞かせる。サクソフォン奏者の甲斐尚美さんが主宰し、若者たちが参加する③は「アイ・ガット・リズム」「見上げてごらん夜の星を」などを吹く。そして、パーカッション奏者の川手艶子さん率いる④は、「オー・シャンゼリゼ」「糸」「心の瞳」「見上げてごらん夜の星を」を客席に届ける。花柳流⑤の舞踊演目は、見る人が内容を理解しやすい「鶯宿梅」など3曲だ。
朗読劇「剣花坊・信子の川柳物語」
主催の「明日を紡ぐ大地の会」は、「剣花坊・信子の川柳物語」を上演。萩市出身の井上剣花坊と妻・信子を題材にした朗読劇を披露する。
井上剣花坊(1870~1934)は、明治・大正時代のジャーナリストで川柳作家。地元「鳳陽新聞」記者を経て、1900年(明治33年)に上京。1903年(明治36年)新聞「日本」に入社し、川柳欄を担当するように。1905年(明治38年)には柳樽寺(りゅうそんじ)川柳会を結成し、機関誌「川柳」を創刊。大正期には「柳樽寺剣花坊」の名で、新川柳界の総帥と仰がれた。門下は全国各地に広がり、なかには「雉子郎」の川柳名をもつ作家・吉川英治もいた。一方、看護師だった妻の信子(1869~1958)は、日露戦争にも従軍。40代後半から本格的に作句を始め、女性川柳作家として初の句集を刊行した。その傍ら、1929年(昭和4年)に「川柳女性の会」を結成し、女性柳人の育成にも努めた。夫亡き後は、柳樽寺川柳会とその機関紙「川柳人」(川柳から改称)を引き継ぎ、主宰した。
同会は約10年前、この2人をそれぞれ朗読劇として紹介した。2013年11月に「川柳を朗読と歌でつづる-井上剣花坊」、翌2014年5月には「蒼空の詩人・井上信子の世界」を上演。これら2本と今回の台本を書いた同会の福島久嘉さんは「今回は、2人の生きざまを伝えようと一つの作品にまとめた。ウクライナなど、世界各地では戦争が今も続いている。戦時下にあって剣花坊は、反戦の心を吐いた。明治、大正、昭和と、激動に明け暮れた近代日本の道のりを振り返りつつ、2人が残した川柳の数々を今静かに味わいなおすことは、現代の日本人がいかに生きるべきか、多くの示唆を与えてくれると思う」と、来場を呼びかける。
前売り券は大人1000円で、山口市民会館、C・S赤れんが、YCAM、山口井筒屋、三好屋レコード店で販売中。当日料金は1200円で、高校生以下は無料。問い合わせは同会(TEL083-921-2476)へ。