馬頭観音から約1キロも下って行くと左手の小高い丘の上に文殊堂が見えて来る。「防長寺社由来」には「篠目の庄屋、施主吉賀十郎兵衛の先祖、先年深田より掘り出し、威霊の印有り、深田文殊と申し伝え云々」と書かれている。文殊堂に祀られている文殊菩薩は釈迦の弟子随一の知恵者で、全国的に受験生の参拝が多いそうだが、ここもそうなのだろうか。階段下には1700年代に建立された延命地蔵、猿田彦大神、廻国塔もあり、境内の桜の大樹は春には見事に咲き誇るという。
昭和13年(1938)、行政区変更に伴い、板見堂、大江河内、林の三地区が合併した際には、この文殊堂に因んで「文殊」の新地区名が採用されたと言われている。
文・イラスト=古谷眞之助