法隆寺五重塔(奈良県生駒郡)、醍醐寺五重塔(京都市)とともに日本三名塔に数えられる瑠璃光寺五重塔(山口市香山町7)の美しい姿は、屋根修復工事のため囲いに覆われており、今は見ることができない。
山口市唯一の国宝である瑠璃光寺五重塔は、1442年ごろに大内氏26代・盛見によって建立。以来600年近くにわたり、修理も重ねつつ、大切に守られてきた。室町時代中期における優れた建築物でもあり、年間50万人を超える観光客が訪れている。
同五重塔の屋根は、ヒノキの樹皮を重ねて屋根を葺(ふ)く、伝統的な工法の檜皮(ひわだ)葺きで作られている。だが、檜皮葺きの屋根は、20~30年程度で傷みが激しくなるため、周期的な葺き替えが求められる。同五重塔の屋根が最後に葺き替えられたのは1998年で、この時は各層の軒先約1.5メートルを中心とした部分葺き替えだった。それから約25年が経過し、屋根の経年劣化も進行。度重なる台風による損傷も激しく、早急に全面葺き替えが必要な状態になってしまった。全面葺き替えが最後に行われたのは、約70年前の1952年までさかのぼる。
修復にかかる費用は、最新の防災施設の整備などを含め、約7億6000万円。国宝の場合、拝観料を改修費用や整備費に充てるのが一般的だが、無料で入場できる都市公園・香山公園の中にある同五重塔は、建物の中に入れる構造でもなく、拝観料を徴収できない。そのため瑠璃光寺は、国・県・山口市から補助金を受けたが、それでも不足し、約6000万円の自己負担が必要となった。これは、同寺と檀家(だんか)だけでまかなえる金額ではない。
クラウドファンディング第2期がスタート
そこで、同寺総代会、山口観光コンベンション協会、山口商工会議所、山口七夕会の4団体は、昨年9月に実行委員会をつくり、改修費用をクラウドファンディング(CF)で募る「国宝瑠璃光寺五重塔『令和の大改修』CFプロジェクト」を立ち上げた。CFは、来年春までの3期に分けて実施される。
昨年9月2日から11月30日までの第1期では、目標金額2000万円に対し、573件・631万6000円が寄せられた。達成率は31%だったが、瑠璃光寺への直接寄付や期間中に開催された「特別拝観」の収入が約500万円に上り、合計すると約1100万円だった。
CFの第2期は、8月1日から11月30日(水)までが実施期間。目標金額は、第1期と同じ2000万円だ。寄付・支援は、読売新聞CF「アイデアマーケット」内特設サイト(https://ideamarket.yomiuri.co.jp/projects/rurikoji2023)から。寄付に対する返礼品は、御守(檜皮チップ入り)、数珠、手作り阿弥陀如来像坐像(ざぞう)、五重塔への御芳名奉納など8種類がある。受付金額は、3000円から100万円まで。
改修工事は、今年1月にスタート。4月から9月にかけて、足場の設置が進められている。足場完成後の10月から2025年2月ごろまで、屋根の葺き替えと木部修理作業が実施。その後、足場の撤去などが徐々に進められ、2026年3月末に完成・竣工する予定だ。
問い合わせは、プロジェクト事務局の山口観光コンベンション協会(TEL083-933-0088)へ。