開催中の特別展「やまぐち大考古博 ―みよう、ふれよう、やまぐちの3000年― 」では、山口県ゆかりの貴重な考古資料を一挙大公開しています。
さて、現在の山口市が大きく発展した時期の一つのは、室町時代です。大内氏が畿内・西国の覇権を握るほど成長したからです。特別展でも大内氏館跡の出土品を展示しています。
なかでも注目の品は、「金箔かわらけ」。かわらけ(素焼きの土器の皿)の外側に豪華な金箔を貼り付けています。かわらけは、主に宴会で酒を注いだり、食物を盛るために使われた、当時の使い捨て食器でした。そのような器に金箔を貼ることは、普通はありません。しかし、全国では陸奥南部氏、小田原北条氏、阿波三好氏などの館でも同じような金箔かわらけが出土しています。使い捨ての器にまで金箔を貼り付けるくらいですから、大内氏の宴会はさぞ豪華なものだったのでしょう。
山口県立山口博物館 考古担当学芸員 阿部 来