「なぜだろう?」と感じた疑問を解くために、仮説をたて、実験・観察をくり返し、「こういうことだったのか」へと向かっていくのが自然科学の研究のすすめ方の大筋です。
この本では、「なぜ蚊ばしらは毎日ほぼ同じ時間帯にできるのだろう」と疑問をもった著者が、「蚊はからだの中に、一日の長さをはかるしくみをもっている」という結論に到達するまでの過程がわかりやすく説明してあります。
昼間、蚊はうす暗いところで休んでいますが、明け方と日没前になると、まずオスが活動しはじめ蚊ばしらを作り、少し遅れてメスも動きだします。
この規則正しい活動は、24時間真暗にし温度も一定に保った実験装置の中でも確認することができます。
つまり蚊は、明るさや温度に反応するだけでなく、体内時計を使いながら活動していると考えられるのです。
出版年はやや古いため新しい情報はもりこまれていませんが、研究の心得や、わからなかったことが解けていくおもしろさは伝わってきます。読みついでいきたい科学の本の一冊です。
さ・え・ら書房
著:千葉 喜彦
ぶどうの木代表 中村 佳恵