2023年7月判断の「山口県内経済情勢」について財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、緩やかに回復しつつある」と総括判断。昨年1月以降6期連続の「持ち直している」から、7期ぶりに上方修正した。
企業へのヒアリングや各種経済指標をベースに3カ月ごとに発表しており、今回の要点は「『個人消費』は、緩やかに回復しつつある。『生産活動』は、持ち直しつつある。『雇用情勢』は、持ち直している」とした。さらに、2023年度の「設備投資」は前年度を上回り、同じく「企業収益」は増益の見込み。さらに「住宅建設」「輸出」とも前年を上回る。
そして、8月以降の「先行き」については「雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが県内経済の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」との判断を示した。
企業の声
ヒアリングした企業からは、
- 「新型コロナウイルス感染症が5類に移行したものの、内食、中食から外食へ大きくシフトする動きはみられていない状況にあり、飲食料品の売り上げは堅調に推移している」(スーパー)
- 「飲食料品の売り上げが引き続き堅調なほか、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、外出機会の増加に伴い、化粧品や日焼け止めなどの売り上げが大きく伸びている」(ドラッグストア)
- 「人流の増加に伴い来店客が増加しており、おにぎりや飲料などの売り上げが好調である」(コンビニ)
- 「テレビは巣ごもり需要の反動により需要が低調となっており、前年の売り上げを下回る状況が続いている」(家電大型専門店)
- 「巣ごもり需要の反動により工具などの売り上げが低調なほか、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以降、マスクや除菌シートなどの売り上げも減少している」(ホームセンター)
- 「自動車生産台数が回復傾向にあることから、自動車登録台数が伸びている。また、モデルチェンジを行った車種は価格が上がったものの、強い引き合いがみられている」(自動車販売店)
- 「夏の旅行予約も好調に推移しており、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことを受け、旅行需要が高まっているほか、インバウンド需要についても増加している」(旅行代理店)
- 「半導体不足の影響を受け生産量を大きく減らしていたが、その影響が緩和しつつあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の生産水準に戻りつつある」(輸送機械)
- 「自動車生産台数が回復傾向にある影響を受け、自動車向けの生産量が徐々に増加している」(鉄鋼)
- 「依然として中国経済が回復していない影響を受け、海外のインフラ向けで需要が低調なことから、生産量が減少している」(化学)
- 「セメントは、国内では建設コストの上昇、海外では中国の景気減速により建設需要が低迷している影響を受け、需要が低調になっている」(窯業・土石)
- 「求人は出しているものの、特に朝や夕方の時間帯は応募がなく、引き続き人手不足の状態が続いている」(ホームセンター)
- 「このところ求人の増加に落ち着きがみられているが、これは新型コロナウイルス感染症の影響が薄らいだ直後に求人が増加していたことの反動によるもので、人手不足の状況は依然として続いている」(公的機関)
- 「現在は複数年の計画で生産能力の増強を進めており、工場の新設や、新規生産設備の導入を予定している」(電気機械)
- 「輸送に使用する代替船(自社船)の建造や、新事業への進出を予定している(運輸・郵便)
などの声が聞かれた。