さしもの熱い夏も少し勢力をおさめたようですね。虫の声も聞こえてきます。
夏の盛りの頃は、暑い暑いと冷房の部屋に閉じこもり、煎餅なんかをかじり、だらだらと過ごしていました。今もその生活態度は変わらず、ゆるい簡単服ばかり着ていた身体には、贅肉がドカンとついてしまいました。
東京在住の淑子さんから『墨絵の個展を銀座Y画廊で開きます』という案内が届いた。私と淑子さんは中学生の時からの長い親友。彼女は二年前に重い病気をして、今も少々生活に不自由があり、リハビリを頑張っている。秋に個展をするということは、酷暑の中作品を描いた、ということです。暑い最中、不自由な身体でやり遂げたのです。元気な私が怠けて、まだ病身の淑子さんが、気力を振り絞る。涙が滲む。こうしてはいられません。弛緩した身体をシャキッとさせねば。
まずはのびた足の爪を切ることから。次は元気を出す為に赤いペディキュアを十本の指に塗る。黒沢年男の歌う「時には娼婦のように」が伴奏。曲に合わせて血流を足先から頭に流れるように、ドレミファソラシドと指を動かします。ついでにラジオ体操第一をする。全身が熱くなってきました。さあ、これからが勝負です。さて、私は何をしたらいいのでしょうか。