かつては、「国民病」とも言われた結核だったが、2021年1年間の結核り患率(人口10万当たりの患者数)は9.2と、調査開始以降初めて10を切り、日本は世界保健機関(WHO)が定める「結核低まん延国」になった。2022年1年間の結核り患率も8.2で低まん延国の水準を継続したが、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症による影響も考えられる」と、実際よりも低い数値である可能性も示唆している。9月24日から30日は結核予防週間。今一度、結核について考える機会にしよう。
結核とは、結核菌により、肺などに炎症が起こる病気だ。空気感染で広がるが、初期症状は咳、微熱、倦怠感など風邪と似ているため、気づかないうちに進行してしまうことがある。
2022年の新登録結核患者数は、全国が1万235人(前年比1284人減)、山口県内は116人(前年比3人減)だった(表参照)。山口県のり患率は8.8と、全国より0.6ポイント上回っており、都道府県別では36番目に高いり患率となっている。
加齢による免疫力低下に要注意
近年の傾向として「患者の高齢化」がある。かつて結核がまん延していた時代に既に感染していた人が、高齢化による免疫力低下に伴い再発症してしまう例も多くみられる。実際、新登録結核患者の80%以上を60代以上が占めている。
◇ ◇
厚生労働省では毎年9月24日から30日を「結核予防週間」と定め、結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。また、結核予防会(尾身茂理事長)は、全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の大切さを伝えている。
感染予防には、ウイルスから体を守ろうと抵抗する免疫力が重要。バランスのよい食生活、十分な睡眠休養、適度な運動、禁煙などが免疫力を高め、発症予防につながる。
さらに、年に1回程度定期的に胸部エックス線検査を受けることが大切だ。結核は、高齢になるほど咳やタンなどの症状が出にくくなる。受診や診断の遅れは、重症化や集団感染につながる恐れもある。タンのからむ咳や微熱・身体のだるさが2週間以上続く、体重が減ってきたといった症状が見られる時は、下記に掲載の医療機関などを早めに受診しよう。
※電話番号のクリックで、各医院、施設に電話をかけることができます。