「小僧さん、この手紙を千住の扇屋さんに届けておくれ。今から行けば昼前には着くだろう。気をつけておいきよ」ということで、小僧さんは手紙を落ちないように腹に丁寧に巻き付けて、千住へひとっ走り。
ポストがない。我が家から一分の所にあった赤いポストがない。撤去する、という予告の貼り紙があったが、もしかしたら中止になるかもしれないと希望を抱いたが叶わなかった。
私は、友達に近況を知らせたり、レターパックで物を送ったりする。しょっちゅうする。ネットで調べたら、ポストは全国には約十八万六千本あるらしい。なのに私の家の一番近くのポストがなくなった。東西南北十分も歩けば五本のポストがある。が、やはり面倒で不便だ。
本星崎のポストに 永谷悠紀子
あなたがお返事くださらないって筈はない/ということはやっぱり あなたに宛てた手紙はまたお手許に届かなかったのですね/便箋六枚したためた封書は 歳末 ひばりが丘郵便局前のポストに投函しました/うす闇の底に滑り落ちた封筒が 先着の仲間に微かな音で挨拶するのを確かめました
ポストには物語がある。我が家に郵便屋さんのバイクの音がして郵便物が届くのは嬉しい。わくわくする。