皆様、明けましておめでとうございます。
皆様にはお健やかに新年をお迎えになられたこととお喜び申し上げます。今年の門出にふさわしい晴れやかな日々をお過ごしになられたことでしょう。皆様に今年が幸多い年でありますよう願っております。
私の新年は、エーリッヒ・ケストナーの次の詩のようなものでした。
ぐうたらの魔力
早朝 湯槽の中で ぐうたらは始まる/坐りこんだきり もう金輪際立ちあがる気がしない/栓をしめて湯をとめるのも億劫/ゆっくり浸らねばならないのに ピチャピチャからだに湯をかけるばかり/湯が上がってくる 自分の足指を/まるでプラトンのイデアでも見るように 不思議そうに見つめる/だが何の不思議もない 湯の中で足指は実際よりいくらか大きく見えるだけ(後略)
私はプラトンもイデアもなんのその、湯槽の中で身体を緩め、投げ出して「ああ 上野駅」を歌っていました。それからタオルで風船をこしらえ、湯の中で潰して泡が上がってくるのをぼんやり見ていました。泡がはじけると新年の匂いがしました。
二〇二四年。辰年。今年は穏やかな年でありますように。世界の人々が笑顔でいられますように。今年も皆様、よろしくお願いいたします。