戦争が終わって数年しかたっていないのに、人間は再びごたごたを起こし、それを解決する方法を見つけようと首脳会議を何十回も開きはするものの、一向に意見はまとまりません。
それをみてあきれはてた動物たちは、自分たちも会議を開くことにしました。議題は「子どもたちのために!」口火を切ったのは、白クマのパウルです。
「ぼくたちがここにあつまったのは、人間の子どもたちの力になるためです。なぜか? 人間たちじしんが、このなによりもたいせつなつとめを、ほったらかしにしているからです! ぼくたち動物は、団結して、二度と戦争や貧困や革命がおきないことを要求します!」
動物たちは、あの手この手で自分たちの考えを伝えようとしましたが、失敗。
けれども最後に、象のオスカルが名案を思いつきました。これには人間もすっかり降参。動物たちの出した永久平和の条文に調印したのです。その名案とは?
動物会議で話し合われたように、子どもたちの幸せを願う思いこそが、世の中全体を平和へと導いていくのではないでしょうか。
岩波書店
文:エーリヒ・ケストナー
訳:池田 香代子
絵:ヴァルター・トリアー
ぶどうの木代表 中村 佳恵