あなたの好きな我が家の侘助が満開になりましたよ。新年早々災害が多発したにも関わらず、いつものように無数の真っ白の花をつけました。輝く珠のように嬉しそうに咲いて、あなたを待っているのに、あなたはいない。
あなたが逝って六か月。寂しくてたまらない。冬の風が花びらを揺らす度に悲しみが深まるのです。
あなたとの四十年にわたる長い付き合い。食事をしたり、お茶を飲んだりしましたね。あなたが病を得てから、十年あまり。少しずつ体力の落ちていくあなたをずっと見てきました。足が悪くなり、杖を持つようになり車椅子へ。あなたは陽気で、気力はいつも満タンで、車椅子を押していても、あなたが病身であることを私は忘れたくらいです。回転寿司やしゃれた店でランチをし、映画にも行きましたね。道行く人も、段差があれば手助けしてくれ、皆さん優しかった。
今年の酷暑の夏、あなたの病が急に暴れあなたを連れ去った。
庭の侘助を見たり、いつもの喫茶店に行くとあなたが現れそうで俯くのです。この悲しみは時が経つと私を励ましてくれる思い出という宝物に変わることを知っています。