第76回山口県美術展覧会の審査結果が3月4日に発表され、266点の応募の中から大賞に選ばれた。「長年応募し続けてきたが、ようやく審査員と僕の気が合ったのかな」と受賞後の感想。
作品「鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)」には、兵士や銃撃の様子、友人の死などが、油彩とコラージュの技法を用いて、100号を横に二つ並べた大型キャンバスに描かれている。
ウクライナでの戦争や不穏な社会情勢を伝えるニュース、新聞を見て湧き上がる思いを表現した。「制作期間は80年」というほど、これまでの経験が投影された作品だ。タイトルは妻の政子さんが付けた。
同作品を含め、美しい色使いを作風に持つ。武蔵野美術大の恩師で画家の山口長男氏から「色の魔術師」と評されたことは、今も強く心に残っている。
新たな作品にも取り掛かっており、制作意欲は尽きない。
【プロフィル】1943年旧小郡町生まれの81歳。小郡小・中、山口高、武蔵野美術大卒。デザイナーの仕事をする傍ら絵を描き続け、県内外の公募展に出品。国際NGO「ピースボート」主催のクルーズ船で絵画講師を務めたこともある。趣味は音楽鑑賞。