映画「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)」(2021年、ウクライナ・ポーランド)が、3月31日(日)に山口市民会館小ホール(山口市中央2)で上映される。時間は午前10時半、午後2時、7時からの3回。「山口でなかなか上映される機会のない良質な単館系新作映画を、自分たちの手で上映・観賞する」ことを目的に活動している西京シネクラブ(大久保雅子代表)が主催する。
第2次世界大戦下で領土を奪われ翻弄(ほんろう)される、ウクライナ、ポーランド、ユダヤの3家族の子どもたちを、一人の大人が守り抜こうとする物語。ウクライナ民謡をもとに生まれたクリスマスソング「キャロル・オブ・ザ・ベル」(クリスマスキャロル)も、重要なテーマとなっている。2022年4月のロシアによるウクライナ侵攻が始まることを予感していたかのように、ドキュメンタリーを主戦場とするウクライナ人の女性監督、オレシャ・モルグネツ=イサイェンコが、2021年に作り上げた。
1939年1月、ポーランド領スタニスワブフ(現ウクライナ・イバノフランコフスク)にあるユダヤ人が暮らす母屋に、店子(たなこ)としてウクライナ人とポーランド人の家族が引っ越してくる。歌うことが得意なウクライナ人の娘ヤロスラワは「キャロル・オブ・ザ・ベル」を歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面ではいつもその歌を披露していた。やがて第2次大戦が勃発し、スタニスワブフはソ連軍やドイツ軍の侵攻を受け、ソ連に占領されてしまう。ポーランド人とユダヤ人の両親たちは迫害によって連行され、彼らの娘たちは家に残されることに。ウクライナ人の母・ソフィアは3人の娘たちを分け隔てなく守り続け、さらにドイツ人の息子もかくまうことになるが…。
チケットは、当日会場で販売。料金は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。電話予約(TEL083-928-2688)すれば、一般料金のみ1500円に割り引きされる。
同会の大久保代表は「多様な国の人が同じアパートで暮らすところから物語が始まる。世界は一つの国や文化で成り立っているわけではなく、各国の文化を尊重し合わなければ平和は訪れないと改めて感じる。戦争を描き、胸の痛むシーンもあるが、親たちが子どもたちを生かそうとする愛情がひしひしと伝わってくる映画。そして、何よりもタイトルでもあるウクライナの原点、キャロル・オブ・ザ・ベルの音楽が心にしみる」と見どころを話す。