街道の歴史とは外れるが、石州街道沿いの果物というと、まず思い出すのは徳佐リンゴで、幼い頃にリンゴ栽培の南限と聞かされた記憶がある。徳佐リンゴの創始者は友清隆男氏。戦後の昭和21年に徳佐に入植して栽培を開始し、長野県以南のリンゴ暖地栽培の嚆矢として高く評価されている。心配されたのは気象条件だったが、確実な気象データに基づき、雨量は長野県と大差がないこと、大きな昼夜の気温較差などを考慮して幾つかの候補の中から徳佐を選んだと言われている。
現在、栽培戸数は15戸で、30種、一万五千本が栽培されている。暖地特性を生かして早くも8月から収穫を開始し、かつ12月頃まで楽しむことが出来るのだそうである。
文・イラスト=古谷眞之助