近頃、キレやすくなった。義務教育の間中、通知表に“もっと積極的に行動し、発言しましょう”と書かれ続けた間の抜けた鈍い私が、激しい行動の最たるもの「キレる」のである。
「キレる」とは“我慢が限界に達し、理性的な対応ができなくなる”。“前頭葉の機能低下で感情が抑えきれなくなる”。 別の言葉で言えば“激高・忿(ふん)怒・怒り狂う”。 老人はキレやすい、と聞く。私は潜在的に激しさを隠し持っていたのか? 老人になったことが原因だろうか?
激しくキレている人を見たのは、確定申告の会場。待たされる苦情か税金の不満か、高齢者の怒声が響いた。飛行機搭乗の列で、修学旅行の学生を先に乗せることへの苦情を言い立てる高齢者を見た。キレていた。
今のところ、私は私にキレる。靴下を穿く時、片足立ちができないでこける。しっかり立てよ、と罵声を足にあびせる。入ったトイレが和式であった時、しゃがむのが苦労がいる私は、できないじゃないの、と便器を忿怒の形相で叱る。集合場所を間違えて長く立ちん坊をした時、我が頭をこずく。寒い日、天を罵る。水を床にこぼしたら足で強く踏み散らす。拭いてなんてやるものか。
『ひとつ怒ればひとつ年取る、ひとつ笑えばひとつ若返る』。(中国名言名句の辞典)