鯵一尾二百五十円を買ってバーコードで読み取らせ一万円札を投入する。おつりの千円札とジャラジャラと小銭が出てくる。財布にしまう。
帰宅して、千円札を入念に調べる。私は、きれいな千円札を集めている(お祝いや月謝お礼等にきれいなお札は必要)。新札に近ければ近いほどいい。紙幣はピンと張っていて、野口英世を指ではじくとコンと軽やかな音がするのが最高だ。今回該当するのは、九千円の中に一枚しかなかった。二枚、惜しい紙幣があった。真ん中に緩やかな折り曲げの跡が見える。きっと、二つ折りの財布に入っていたものだろう。
千円札の顔は、昭和二十五年から聖徳太子、三十八年から伊藤博文、五十九年から夏目漱石、平成十六年から野口英世。もうすぐ北里柴三郎に変わるらしい。私に馴染み深いのは聖徳太子。太子の持っていらっしゃる、しゃもじのような笏は印象的だ。後の方は同じような顔に見えて誰が誰か記憶に残らない。
昭和四十年に就職した私の初任給は一万四千五百円。もろもろ引かれて千円札で聖徳太子様だけで貰ったと思う。伊藤博文もあったかな?
きれいな千円札はなかなか溜まらない。手元不如意のおりには、そこに手をつけてしまう・・・。惜しみつつ使う。