今年1月に米紙ニューヨーク・タイムズの「2024年に行くべき52カ所」の3番目に山口市が紹介されたことを受け同市は、増加すると見込まれる観光客の「二次交通」を充実させるため、「山口市観光循環タクシー」の運行を3月16日に開始した。車両は、10人乗りのジャンボタクシーで、定員は1台当たり8人。
JR「山口駅」を起点に、「米屋町」からパークロードを通り「美術館前」「旧山口藩庁門前」「洞春寺」を経由して「香山公園五重塔前」へ。10分間の待機後、再出発。「大内文化特定地域」内の「八坂神社前」「龍福寺前」から「西京橋」「米屋町」に止まり、「山口駅」へと戻る。1周の所要時間は、およそ40分間になる。
平日・休日とも1日8便の運行で、「山口駅」を出発する時間は、午前8時半、9時半、10時45分、正午、午後0時45分、2時45分、3時45分、4時45分。料金は、大人200円、小学生100円で、未就学児は無料だ。
さらに、昨年までは秋限定の販売で、かつ週末にしか利用できなかった「山口市観光周遊1日乗車券」も、循環タクシーの運行に合わせて発売された。同タクシーに加えて、山口市コミュニティバス(大内ルート・吉敷・湯田ルート)の全区間が、1日乗り放題となる。料金は、大人500円、小学生250円で、未就学児は無料。各車内、山口観光案内所(JR山口駅1階)、湯田温泉観光案内所(山口市湯田温泉2)、香山公園前観光案内所(山口市香山町6)、新山口駅観光交流センター(JR新山口駅北口)で購入できる。やまぐちMaaS用ウェブアプリ「ぶらやま」を通じての利用も可能だ。
管轄する山口市観光交流課によると、3月(16日間)の総利用者は190人で、1日当たりの平均は約12人。そのうち、通常利用が106人(55.8%)で、1日乗車券利用者は84人(44.2%)。また、外国人の利用者(運転手の推測による)は13人だった。続く4月(30日間)の総利用者は334人で、1日当たりの平均は約11人。通常利用が175人(52.4%)で、1日乗車券利用者は159人(47.6%)だ。外国人利用者は27人。3月と比べると、1日乗車券を利用する人の割合が、わずかながら増えている。
これまでは、1便当たりの平均乗車人数が2人に満たないという状況で、乗客ゼロのままで走るケースもある。悪天候の週末が多かったことに加え「徒歩での散策を選択する外国人観光客も少なくないようだ」と同課。今後の観光客利用に期待を寄せるとともに、「公共交通を使って大内文化ゾーンを訪れることで、地元の魅力を再発見できるのでは」と、市民に向けても利用を呼びかけている。
山口駅ウエルカムサイン
循環タクシーの起点となっているJR山口駅には、4月4日に「ウエルカムウインドサイン」も、新たに設置された。山口観光コンベンション協会によるもので、大内文化ゾーンにつながる鉄道の玄関口で、観光客をしっかり「お迎え」しようと設けられた。市民や通勤客への認知度向上にも期待している。
場所は、待合案内所内の改札口正面上部。デザインは、「2024年に行くべき52カ所の3番目」の英語表記と、瑠璃光寺五重塔、七夕ちょうちん、山口祇園祭の御神輿(おみこし)と鷺の舞の写真で構成されている。およその大きさは、縦3.5メートル×横6.1メートルだ。