今日の主役は華やかなピンク色の鉱物「菱マンガン鉱」です。宝石が好きな方は、ロードクロサイトと言った方がピンとくるかもしれませんね。
鉱物が色を持つ要因はいくつかあって、ピンク色に関してはマンガンという金属元素が関係することが多いです。マンガンは、引張強度の大きい鉄鋼をつくるためには必須の成分です。また、マンガンの化合物はマンガン乾電池の正極剤として利用されるなど工業的な用途がさまざまあります。私たちにとって有用なマンガンは天然の鉱物の中に含まれていて、その代表が菱マンガン鉱です。
色や模様が美しいものは装飾品としても利用されます。硬度が低いため傷がつきやすく、割れやすいので加工が難しいです。縞模様があるものはアルゼンチンなどで多く産出し、インカローズともよばれています。写真は山口博物館で展示している北海道産の標本です。
山口県立山口博物館 地学担当学芸員 赤﨑 英里