午前中、二時間ばかり草取りをして、暑さにダウン。ベッドに飛び込んで昼寝をした。玄関を三分の一開け、それにつながる私の部屋のドアを全開にして風を通した。三十分も経っただろうか、ふっと何かの気配を感じて目が覚めた。
目の前に犬がいた! びっくりして飛び起きてベッドの上に立ち上がった。犬は五十㎝の高さのベッドより頭一つ大きい。ワァー、と叫ぶ私に向かってふさふさした尻尾を振りながら寄って来る。犬は人間の六十代の男性の白黒まだらの頭髪のような体色で顔と腹に白い斑がある。噛まれる、という恐怖もあったが、犬には狂暴さが感じられなかった。やんちゃな目をして口を半開きにして私を見ている。それでも知らない犬は怖い。ダメ、帰って、と追うと玄関の方に私を振り返りながら、なんでだよ、遊ぼうよ、という目をして出て行った。
幼い時から三十代までいつも傍に犬がいた。犬種はいろいろだったが、全て猟犬。勇敢な猟犬といえども、甘えん坊の犬も橋を渡るのを怖がる犬もいた。何日も帰ってこなかった犬もいた。私は、親に怒られても犬を待って犬小屋の中で眠った。
あの犬は、無事に飼い主の元に帰っただろうか。大事に飼われている犬だとわかる。飼い主が安堵していることを願う。もう一度会いたい。