渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎といえば、2024年7月3日に発行された新札に描かれている偉人たち。みなさんは実物を手にされましたか。新札には、紙幣の価値をあらわす「10000」などの数字の下に日本銀行券という文字があります。これらの紙幣は、日本銀行が発行したもので、政府・日銀への信用と実際に紙幣を使う私たちとの合意によって、初めて価値をもつのです。
では、今から900年から450年ほど前、中世のお金はどうだったのでしょうか。当時は、多量の銅銭を中国から輸入して、お金として使っていました。中国や朝鮮などとの貿易に経済的なウェイトがあったことがうかがえます。
山口市の興隆寺からは、備前焼の大甕に納められた294キログラム(推定89000枚)もの銅銭がみつかっています。大内氏の氏寺である興隆寺の繁栄を物語る貴重な資料といえるでしょう。
山口県立山口博物館 考古担当学芸員 阿部 来