詩誌「龍」(発行人・篠崎勝己)が送られてきた。 目次の【神様 どうかお許しをー能登 それぞれの「あえのこと」】に目が留まった。
能登とはあの地震のあった能登か?神様お許しを、ってなんだろう? 「あえのこと」とは何だ?
神様 どうかお許しをー能登 それぞれの「あえのこと」
井崎外枝子
本年一月一日午後四時過ぎの大地震/数千年に一度のことと言われております/この度は父から引き継いで以来/初めてのお帰りの延期をお願い致しとうございます/いまだに水は通じず ご馳走は難しく/お風呂も沸かせずで 満足なおもてなしはできませぬ/集落も避難して 人の姿はなく/周りも家族も 疲れ果てております/どうか二月九日はお許しを願い/せめて四十九日が過ぎ 気持ちの整理がつきましてから/きちんと行う所存でございます/あの日 棚田から見えました輪島市内は/真っ赤に染まり ほぼ三〇〇棟が消失いたしました(輪島市内にて)
豊作儀礼「あえのこと」は、前年十二月、田の神様を自宅に招き、翌二月に田園へ送り出す奥能登各地の伝統行事(無形文化遺産)。
井崎さんは、悲しみを抱え、神へのご無礼を詫び、能登の豊作を祈る。能登での人の生活は続くのである。