「光さす水底から~海野幹雄チェロコンサートwith松本和将」が、10月26日(土)午後2時から、C・S赤れんが(山口市中河原町5)で開かれる。山口市と同施設の主催。
海野は、父に23歳でNHK交響楽団コンサートマスターに抜てきかつ史上最年少の39歳で東京芸術大学教授になった海野義雄を、母に元東京都交響楽団の首席チェリストを持つ音楽一家に生まれた。だが、1980年代前半のいわゆる芸大事件の影響により、音楽を始めたのは14歳からと遅かった。とはいえ母からの手ほどきもあり、わずか1年4カ月で桐朋女子高校音楽科(共学)に合格。その後、1998年に桐朋学園大学アンサンブルディプロマコースを修了し、洗足学園大学ソリストコースでもスキルを磨いた。これまで、第20回霧島国際音楽祭特別奨励賞(1999年)、第14回川崎市音楽賞コンクール最優秀賞(2000年)、第12回全日本ソリストコンテストグランプリ(2002年)等の受賞歴があり、東京フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団等で首席チェロ奏者として客演している。映画「おくりびと」(2008年)では、12人のチェリストの一人として、サウンドトラックのレコーディングに参加した。
松本は1979年岡山県倉敷市生まれ。幼い頃にピアノに目覚め、中学3年の時に第48回全日本学生音楽コンクールで優勝(1994年)。高校在学中にはウクライナのホロヴィッツ国際ピアノコンクールで3位(1997年)に。東京芸術大学進学後、1年時に第67回日本音楽コンクールで優勝(1998年)した。さらにイタリアのブゾーニ国際ピアノコンクールで4位(2001年)、世界三大コンクールの一つに数えられるベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールで5位(2003年)に入賞するなど、受賞歴多数。これまで、プラハ交響楽団、ベルギー国立オーケストラ、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団など、多くのオーケストラと共演。ソロや室内楽でもさまざまな演奏活動を実施しており、2016年からは「松本和将の世界音楽遺産」と名付けたリサイタルシリーズにも取り組んでいる。
海野と松本は、これまでに何度か共演しており、かつ講習会でともに講師を務めたこともある。折に触れて「また共演しよう」と話す関係で、今回は約2年ぶりの共演となる。
当日の演奏曲は、
- 無伴奏チェロ組曲より(バッハ)
- 組曲「動物の謝肉祭」より白鳥(サン=サーンス)
- ハンガリー狂詩曲作品68(ポッパー)
- チェロ・ソナタ第1番ホ短調作品38(ブラームス)
などが予定されている。
全席自由で、前売り券は一般2000円、18歳以下1000円。同施設、YCAM、山口市民会館、サンパークあじすで購入できる。当日券は各500円高(残席がある場合のみ)。未就学児は入場できない。問い合わせは同施設(TEL083-928-6666)へ。
海野は「イタリアで400年ほど前に誕生したチェロは、人の声に近い楽器と言われている。オーケストラや室内楽では伴奏に回ることが多いが、それでも古今の作曲家は、ここぞという場面ではチェロに朗々とメロディーを歌わせる。本公演では、チェロの持つ魅力を余すことなく届けたいと思っている」と、来場を呼びかけている。先日同施設を訪れ、会場の下見と音出しをした際には「響きの良いホール」との感想も漏らしており、同施設に合ったさらなる選曲も考えているとのこと。
このコンサートは、(一財) 地域創造による「公共ホール音楽活性化支援事業」(通称:おんかつ支援)の助成を受けて開催される。