ミラーテストとは、鏡に映る自分の姿を自分だと認識できるかどうかを調べる試験のことです。動物が眠っている間に、体にシールを張り付けます。目覚めた動物が鏡を見たとき、映っている姿が自分だと認識できる動物は自分の体のシールを取るしぐさをしますが、自分だと認識できない動物は、急に現れた他個体の姿に驚いて逃げ出したり、または鏡をつついてコミュニケーションをとろうとしたりします。
先日、ヤマガラが博物館の窓ガラスを何度ものぞき込んでいました。カラス科の一部の鳥類は自己認識ができるようですが、どうもこのヤマガラは認識できておらず、窓枠の向こうの自分に何度もアプローチを試みていました。
「鏡よ、鏡。この世で一番美しいのは誰?」。もし鏡の向こうには別人がいて話ができたら、みなさんは何を問いかけますか。実はヤマガラには別世界が見えていたのかもしれません。
山口県立山口博物館 動物担当学芸員 大森 鑑能