早くに夫を亡くしたローズおばあさんは、犬のジョンと一緒に、なかよく幸せに暮らしていました。
ところがある夜、まっくろけのネコがどこからともなく庭にやってきました。おばあさんは、その後毎晩あらわれるこのネコをうちに入れてやりたいと思うのですが、ジョンは大反対。「ぼくってものが いるじゃないか」
ネコのことが気になりながらもジョンの気持ちをおしきってまで入れてやることもできず、とうとうおばあさんは寝こんでしまいました。
一方、ネコとは一緒に暮らしたくない、でもおばあさんには元気になってほしい、と、ジョンの気持ちもゆれ動きます。そして―。
この作品の原題は「JOHN BROWN,ROSE AND THE MIDNIGHT CAT」ですが、訳者の大岡信さんはそれを直訳せずに「まっくろけの まよなかネコよ おはいり」とつけられました。
やわらかい響きのこのタイトルは、表紙に描かれたおばあさんの穏やかな雰囲気ととけあい、心地よく耳に届いてきます。
岩波書店
文:J.ワグナー
絵:R.ブルックス
訳:大岡 信
ぶどうの木代表 中村 佳恵