音楽の都、オーストリア・ウィーンを拠点に活動するソプラノ歌手、田中彩子の日本デビュー10周年を記念するリサイタルが、11月30日(土)午後2時から、アスピラート(防府市地域交流センター、防府市戎町1)である。東京、大阪、福岡などで開かれる全国10公演の一つだ。
京都府出身の田中は、18歳で単身ウィーンに留学。22歳でスイス・ベルン州立歌劇場にて「フィガロの結婚」のソリスト・デビューを飾った。同劇場日本人初、かつ最年少での歌劇場デビューで大きな話題を集め、6カ月というロングラン公演を代役なしでやり遂げた。高音域の声を転がすように歌う「コロラトゥーラ」の「100年に1人の美声」を持つとも評され、その後はウィーン、パリ、ロンドン等でグローバルな活動を続けている。アルゼンチン生まれでフランスを拠点に活躍する作曲家のエステバン・ベンセクリが彼女の声をもとに作曲した「コロラトゥーラ・ソプラノとオーケストラのための5つのサークルソング」は、アルゼンチン最優秀初演賞を受賞。同作品を収録したアルバムは、英国BBCのクラシック専門音楽誌で5つ星に評された。日本でも、2014年のデビューアルバムリリース以降、演奏活動を重ねている。「情熱大陸」「ザ・ヒューマン」などのテレビ番組でも取り上げられ、2019年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人100」にも選出された。
今年7月、国内デビュー10周年を記念して、これまでに発表した4枚のアルバムからセレクトしたベスト盤「ベスト・オブ・ハイコロラトゥーラ」を発表。本コンサートは、同アルバム収録曲を中心に「これまで共に成長してきた歌と、新しいこれからの10年に向けての歌を混ぜたプログラム。少しばかりの心穏やかな時間になればと願って選曲した」という。演奏曲目は、「夜の女王のアリア」(モーツァルト)、「春の声」(ヨハン・シュトラウス2世)、「月の光」(ドビュッシー)、「アヴェ・マリア」(シューベルト)、「私を泣かせてください」(ヘンデル)など。
全席指定。前売り券は、一般5000円、24歳以下2000円。同館(TEL0835-26-5151)、YCAM、チケットぴあ(Pコード:274-432)などで購入できる。未就学児は入場不可で、当日券は各500円高。
主催する一般社団法人「arte75」(TEL070-8398-4809)は、「まず聞いておきたい『夜の女王のアリア』をはじめ、日ごろクラシックになじみがない人でも一度は耳にしたことのある名曲から映画音楽まで楽しむことができる。演奏者の人柄に接することができるのもコンサートの楽しみ方の一つ。素晴らしい歌声とともに、トークで見せる魅力的な人柄に、ぜひ会場で触れてほしい」と来場を呼び掛けている。