パリに留学するも戦争で中断を余儀なくされ、戦後も暫くたったというのに全く売れない画家、松田正平(1913―2004)。画家になりたくて美大に入ったものの暗中模索の続く女学生マリコ(1940―)
二人が初めて会ったのは今から65年ほど前。郷里・宇部の大先輩に助言をもらいにそのアトリエを訪ねたのである。
しかし、苦労のどん底にあった画家はマリコの未来を案じて「学科がよくできるみたいだから、医者か弁護士にでもなった方がよかろう。そうでなければお嫁に行くのが一番じゃ」とおっしゃったのである。
アタマに来ちゃったマリコ。絶対画家になってやる!と決心し、大学卒業後、1963年にはニューヨークへ。
2年の研鑽を経て帰国すると、あの助言に従ったのか結婚。出産・育児・家事に翻弄されながらも、ひたすら画業を続けることとなった・・・そして2003年。
大画家・松田正平は坂井眞理子の絵を見てこういったのである―ようわからんけどすごいな。
※坂井眞理子展(1月22日まで)展示作品より
山口県立美術館 河野 通孝