「長くつしたのピッピ」の作者として知られるリンドグレーンは、一九〇七年、スウェーデンの古い町ヴィンメルビーにある農場で生まれました。彼女は子どもの頃をふり返り、「わたしたちが遊び死にしなかったのは、不思議なくらいです」と言っています。
この作品は、そんなリンドグレーンの生涯を、子ども時代を中心につづった伝記絵本です。
木登りのできる木、おいしい実のなるブルーベリーの茂み、水浴びにちょうどよい川や湖―豊かに広がる自然の中で、リンドグレーンは兄弟や友人たちと、遊んで遊んで遊びながら毎日を送りました。
おはなしを聞かせてもらうのも大好きで、四才の頃聞いた「巨人バム-バムの話」には度肝をぬかれ、そのときの興奮は生涯忘れられないものとなりました。
美しい自然とおおらかなおとなたちに見守られながらのびのびと過ごした日々の思い出は、彼女の作品に登場する子どもたちの姿となって生き続けています。
子ども時代の幸せな体験こそが、たくさんの名作を生み出した原動力となっているといえるでしょう。
岩波書店
文:クリスティーナ・ビヨルク
絵:エヴァ・エリクソン
訳:石井 登志子
ぶどうの木代表 中村 佳恵