巳年にちなんで縁起よく、名前に蛇の文字が入った鉱物「蛇紋石」を紹介します。
蛇紋石は蛇の模様に似ているところからその名がついていて、クリソタイルやリザーダイトなど16種類の鉱物を含むグループです。クリソタイルは繊維状で、アスベスト(石綿)として利用されてきました。蛇紋石の色は緑色、灰色、黄色などで透明感はなく、油のような光沢とすべすべした感触をもちます。あまり硬くないので加工がしやすく、宝飾品や彫刻材料、装飾用の石材などに利用されています。
蛇紋石を多く含む岩石を蛇紋岩といいます。地下深くのマントルにある、かんらん岩とよばれる岩石が、地表に上がってくる間に変質して蛇紋岩ができます。どこかで蛇紋岩を見かけたら、地球の深いところからやってきたんだなあと足元に思いを馳せるのもいいかもしれませんね。
山口県立山口博物館 地学担当学芸員 赤﨑 英里