今年も早二月。この間正月を迎えたばかりなのに。一夜明けたら、庭の木々が一段と寒そうにしている二月になっていた・・・。すぐに春が来て、多分短い春が凄いスピードで去っていくだろう。毎日出かけなければならない勤めをしているわけではない、予定の詰まった生活をしているわけでもないのに、何故か急かされる。
そういえば幼い時から鈍臭かったので、早くしなさい、と母に言われ続けた。早く風呂に入りなさい、寝なさい、起きなさい、学校に行きなさい、早く、早く。そうやって追い立てられ学校に走った。学校では早く並んで、と朝礼。校長訓話の途中、君ちゃんが貧血で倒れた。早く保健室へ。
今は寒いから布団から出られない。トロリトロリと惰眠をむさぼっていたら、もう八時! 燃えるゴミを出さなきゃ。早く、早く。収集車が行っちゃうぞ。早く。早く。
もうすぐ誕生日。もう七十九歳。この間七十歳になったばかりなのに。九年間の記憶がない。早い早い。
断捨離しなさい、葬儀費用はあるの? 本やテレビの広告に責め立てられる。生きて行けるかしら?
ポストを覗くと「後期高齢者医療保険料」の督促状が届いていた。支払いを忘れていたんだ。早く、早く入金を!