周南市出身の詩人まど・みちおさんは、八十四歳のときに児童文学のノーベル賞ともいわれる「国際アンデルセン賞作家賞」を受賞されました。
この詩集『それから…』は、受賞後初めて出された作品で、三十八篇の詩が掲載されています。
「それから」「ならない おなら」「マロンとメロン」などは言ばあそびをとり入れた詩で、声に出して読むと響きのおもしろさを楽しむことができます。
また「トイレの紙」「三かくじょうぎ」など身近なものをうたった詩からは、まどさんのまなざしの深さが感じられます。
「じいちゃんの話 2 アリの話」は小学生のころ、アリの大群を殺虫剤で退治した体験を思い出し、孫世代に語りかけるような口調でつくられています。
「アリだって/ちゃんと影をつれて生きてる!/ということが分かるとな/なんだかトクしたみたいな/花束もってるみたいな気分になっちゃうぞ」
まどさんの描いた絵も随所におりこまれており、それらをみていると、言ばをこえたつぶやきが聞こえてくるような気がします。
童話屋
詩:まど・みちお
ぶどうの木代表 中村 佳恵