この本の著者河田さんは子どものころから「動物と話せたらいいなあ」と思っていました。
おとなになって、動物の中でも特に「馬」と響きあうものを感じ、以来、野生の馬がくらす与那国島で生活しておられます。
その島で馬とともに過ごすうちに、河田さんは馬たちの豊かなことばを少しずつ理解できるようになりました。
もぞもぞと鼻の先をのばすのは「気持ちいい~」のサイン。
じれったいときには、片方の前脚で地面をひっかきます。
「ブフフフフ」と、低いこもった声を出すのは、あまえたいとき。
馬と気持ちをかよわすには、何もせずに楽しい気持ちでのんびり待つことが大事だそうです。時間はかかりますが、馬に「この人は大丈夫」と思ってもらえたら、馬のほうからそうっとにおいをかぎにきて「きみは だれ?」と馬語で話しかけてくれるのです。
表紙に使われているあわいクリーム色は、河田さんと馬との間にただよっているおだやかな空気をあらわしているように思います。
偕成社
文・絵:河田 桟
ぶどうの木代表 中村 佳恵