「この春は久しぶりにヨーロッパ絵画の展覧会を開催するんですよ!」
「へー、それは楽しみだな! どんな展覧会なの?」
「カナレットとヴェネツィアの輝き・・・」
「んっ?」
和やかだった筈の会話に、突如、暗雲が立ち込める。「カナレット」という謎の一言を不用意に発したばかりに。
「ヴェネツィアの陽光煌めく景観を克明に描いて人気を博した18世紀イタリアの画家で、ヨーロッパの風景画を語る上で欠かすことのできない巨匠なんですよ」などと慌てて付け加えても後の祭り。そう簡単に暗雲が消え去る気配はない。では、もうひと踏ん張り。
「〈映える〉ヴェネツィアを描き出したカナレット。彼がいたからこそ、150年後のモネをはじめ数多くの画家がこの華麗なる水上都市に惹かれ、それぞれのヴェネツィアを描いてきたのです」。
というわけで今月はまず、67歳のモネが思わず魅了されてしまったヴェネツィアをご紹介しましょう。
※「カナレットとヴェネツィアの輝き」展(4月24日~)展示作品より
山口県立美術館 河野 通孝