古くなった布を細かく裂いて織り上げる裂き織り。反物を織り、洋服に仕立てる山下富美江さん(70代女性)に、その魅力を聞きました。
約30年前、織り物をしていた叔母に教えを請うたところ、「あなたは良い師に出会うでしょうから教えられない」と断られました。それから二十数年後、阿知須いぐらの館で裂き織りを教えておられる実村良美先生と出会い、毎月手ほどきを受けています。
叔母の着物と母の着物を裂いて糸状にし、新たな布が生まれた時はうれしかったですし、入院中の夫を心配する日々を送った時も、裂き織り作業に没頭することで乗り越えられました。
洋裁好きも手伝って、織った反物をコートやベストに仕立て、大好きな家族に着てもらうことが今の私の喜びです。