テレビでおなじみのセニョール小林さん(tysテレビ山口の番組ディレクターで「ちぐスマ!」等を担当。各種番組出演も多数)と、マニィ大橋さん(フリーの映画コメンテーター。yab山口朝日放送「どき生てれび」で映画コーナーを担当)は、実は湯田小、湯田中の同級生。小学校時代からの映画仲間で、生粋の映画マニアとして知られています。
新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、対策に関する新しい情報、影響を受けている地元企業の経済活動や支援の動き、「おうち時間」の楽しい過ごし方等々、読者の皆様が前向きな気持ちになれる情報をお届けする「新型コロナに負けない!」。今回は、そんなお二人に「今見たい映画」について、対談してもらいました。
ロード・ムービーって何?
大橋 なかなか旅に行けないこんな時だからこそ、「映画で旅をしませんか?」ということで、主人公が旅をする中、さまざまな人や出来事と出会って成長する「ロード・ムービー」を紹介したいね。ロード・ムービーと言っても幅広いけど。
小林 そうだね。古くは「オズの魔法使」(1939年)、「イージー・ライダー」(1969年)、「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)など、傑作が揃う。
大橋 ジュディ・ガーランドが歌う「虹の彼方に」に心洗われる「オズ」も、ピーター・フォンダがカッコいいアメリカンニューシネマの大傑作「イージー」も、高倉健さんがメチャクチャ渋い「ハンカチ」も大傑作!
小林 作品名略すなあ。「イージー」って何だよ(笑)
大橋 最近だと、昨年のアカデミー賞で作品賞受賞した「グリーン・ブック」(2016年)も典型的なロード・ムービーだよ。黒人天才ピアニストが、人種差別が激しい南部をツアーするのにガサツな白人運転手を雇って、長い旅を通して友情が芽生えるという。
小林 そうだね。ファンタジーだけど、ロード・オブ・ザ・リング3部作(2001年~2003年)も壮大なロード・ムービーだね。
大橋 「A地点からB地点まで」のザ・ぼんち風に言うと、作品の幅も広がるよ。そうすると、地球から遠い銀河のイスカンダル星を目指す「宇宙戦艦ヤマト」(1977年)もロード・ムービーって言える(笑)
小林 確かに。しかし、ザ・ぼんちは誰もわかんない。「♪A地点からB地点まで♪」の歌詞の「恋のぼんちシート」って歌を歌っていた1980年代に人気だった漫才コンビ…って説明させるなよ!(笑)
隠れた傑作!「大災難P.T.A」
大橋 じゃあ、1本目は何を選ぶ?
小林 「大災難P.T.A」(1987年/アメリカ)を紹介しよう。
大橋 そう来たか。いいとこついてくるなあ。僕は寅さんが萩と下関を訪れる「男はつらいよ 幸福の青い鳥」(1986年)かと。
小林 寅さんもロード・ムービーだけどさ(笑)
大橋 僕は現役PTA会長だけど(笑)。この「PTA」は飛行機、列車、自動車の頭文字。主人公2人がこの三つの乗り物に乗るために、やたら苦労するという。
小林 タクシーに乗ろうとすれば横取りされ、飛行機は雪で欠航し、列車に乗れば事故で立ち往生、車に乗れば炎を上げ大炎上…。
大橋 本当に踏んだり蹴ったり(笑)
小林 主演の2人が「花嫁のパパ」(1991年)のスティーブ・マーティンと「クール・ランニング」(1993年)のジョン・キャンディ。
大橋 2人とも超一流のコメディ俳優! スティーブ・マーティンは伝説のコメディをリメイクした「ピンクパンサー」(2006年)では2代目クルーゾー警部を演じていた。
小林 エリートビジネスマンが出張先のニューヨークから家族の待つシカゴに、偶然に知り合った太っちょサラリーマンを伴って帰る、物語はそれだけだけど、次々と2人を襲う災難の数々にハラハラしたりイライラしたり爆笑したり…。最後の最後に訪れる“笑顔”に思わず涙が。
大橋 「ブレックファスト・クラブ」(1985年)などの青春映画の名手として知られるジョン・ヒューズ監督だから、ドラマの構成が巧みだよね。僕もラストは泣いた。
小林 実は、設定や物語が、「グリーン・ブック」とよく似ている。
大橋 そうだね、確かに。育ちも見た目も考え方も全く違う、絶対に仲良くなんかなれそうにない2人がだんだん気持ちを通わせていくところは似ている。とくにクライマックスの展開が…。
小林 でもね、これはパクったとか参考にしたとか言うより、アメリカのコメディ映画の王道の筋立てなんだよ。
大橋 「グリーン・ブック」のピーター・ファレリー監督は「メリーに首ったけ」(1998年)などのコメディが得意な監督だから、ヒューマンコメディを突き詰めると、自然と共通点も出てくるんだろうね。
小林 隠れた傑作なので、是非観てください!